書店員のよしなしごと

読んだ本についてぼちぼち紹介いたします。

2018-01-01から1年間の記事一覧

端正な筆致による極上SF短編「象られた力」

先日、神保町のブックフェスに行ってまいりました。 早川書房さんに並んで東京創元社さんに並んだら、もう大体力尽きてしまってわりと早々に引き上げてまいりました。 来年はもう少し下調べをした上で気合いを入れて臨みたい所存。 さて、そこで購入したのが…

今年も期待通りの鮎川哲也賞受賞作「探偵は教室にいない」(10月26日訂正あり)

例年楽しみにしている、鮎川哲也賞の受賞作が今年も出版されました。 タイトルを見たときに、察するに日常の謎を扱った青春ミステリであろう、と思いました。巻末に掲載の選評を読んでも思うことですが、北村薫さんや米澤穂信さんが選考を勤められる賞に、日…

中国発、アニメ化希望の本格ミステリ「元年春之祭」

「読者への挑戦」という言葉を聞いて思わずワクワクしてしまうミステリ好きは少なくないように思われますが、本作には二度の「読者への挑戦」が挟まれたミステリ好きにはたまらない一作です。 主人公である於陵葵(おりょうき)は才気煥発、明晰な頭脳と若く…

ミステリ愛に満ちた傑作。「カササギ殺人事件」

カササギ殺人事件、読みました。 今年の年末の、このミスをはじめとした各ランキングはこれで決まりなのでは、という気が今のところしています。 発売前から話題になっているので、気になっている方も多いのではないでしょうか。 そういう方はきっと後悔しな…

大友落月記

書店で仕事をしている中で、この本なんだか売れているな、と目を引かれる本が時々あります。 この作品の著者のデビュー作「大友二階崩れ」がちょうどそんな感じでした。 手に取ってみると確かに面白く、以来追いかけています。 この作品もデビュー作に続いて…

アルゼンチンのホラー・プリンセスによる短編集「わたしたちが火の中で失くしたもの」

アルゼンチンのホラー作家マリアーナ・エンリケスによる短編小説集。 ホラー小説というと、やはり人知の及ばざる怪異について取り扱ったものを想像することが多いように思うのですが、この短編集においては、そういった霊的なものよりも、人間の内面にある悪…

「最初の悪い男」 ミランダ・ジュライ

信頼と実績の新潮クレスト・ブックスより、ミランダ・ジュライの新刊「最初の悪い男」を読みました。 個人的には初ミランダ・ジュライです。 既刊は短編で今回が初の長編小説とのこと。 読み終わって、ミランダ・ジュライのことをwikipediaで調べてみたんで…

「青少年のための小説入門」

本を読むのはお好きでしょうか。 私は好きです。 本のページを一度もめくらない日は、ほとんどありません(仕事の都合上当たり前といえばそうです)。 と言って、ことさら人より読書量が多いかと問われれば、決してそんなことはありません。読書家である、と…